鳥取といえば砂丘だと長年信じてきたが、それを覆す存在に出会った。正直、砂丘は人生において1度訪れれば満足だが、そこには何度だって訪れたいと思う。
中国四国地方への遠征登山をした中で出会った、鳥取県の大山だ。
この山行は遠征だったので、持参している服には限りがある。しかもあろうことか、色の配分を気にして用意するのをすっかり忘れていた。おかげでその日は、絶妙な色のコントラストのファッションで登ることになってしまった。
くすみ系ピンクのTシャツにブラウンのパンツという、奇しくも砂丘を彷彿とさせるアラビアンスタイルが出来上がった。こちらの日記でも少々触れたが、普段は海を意識したファッションスタイルなので、それ以外の小物類はブルー、ホワイト、イエロー系ときている。融合していないことは想像にたやすいだろう。
なんともいえないファッションのせいで、テンションは下がった。
そんな絶妙な面持ちで山頂に近づいていったが、暗い気持ちは見事に払拭された。
山頂付近は開けていて、目に映るもの全てが美しい。背の低いフレッシュな草たちが広がる中に岩がゴツゴツとしていて、牧場のような可愛らしさがあった。そして遠くに目を凝らすと、街や海が見えた。
そんな景色を見ながら、整備された木道を歩く。完璧だった。思わずシャッターを押したが、自分が写る写真は例のファッションを直視するのと同義で、忘れかけていたなんともいえない気持ちが再度襲ってきた。
山頂は爽やかな風が吹き抜け心地よく、思わず寝転ぶ。目には青空しか映らない。まさに「のほほん」という言葉がしっくりくる山頂時間で、いつまでもいれそうだった。名残惜しい気持ちで下山を始めたが、この下山こそ大山の本領発揮だった。
整備された木道は駆け降りれるくらい歩きやすい。普段の下山は、転ぶのが怖くてどうしても緊張感が拭えない。足元を凝視しながら歩くので疲れてしまうのだが、それが必要ないから景色を堪能できる。そしてその景色は例の如く最高なわけだ。そんな登山道が全体の3割くらいを占める。
絶景をこれだけ長時間堪能できる山を、他に知らない。瞬く間に下山魅力度No1の座をかっさらった(私選出)。
一気に大山に魅了されたわけだが、写真を見返すたびにアラビアが襲う。鳥取といえば砂丘ではないと言い切っていしまった故の、砂丘の逆襲だろうか。
ファッションもモチベーションに大きく関わるので、みなさんも旅行で登山をする際などは注意してほしいと、心よりの助言で結びとさせていただく。